茶碗蒸しの歴史~茶碗蒸しはなぜ、“銀杏”を入れる!?

もくじ
茶碗蒸しの歴史
スルっと滑らかな口触りとだし汁の風味が特徴的な「茶碗蒸し」が、どういった経緯で日本に根付いたかご存知でしょうか。
時は1689年(元禄2年)、長崎では中国との独占交易が行われており、現地を訪れる唐人(中国人)にむけた宿泊施設である「唐人屋敷」が設けられていました。
その唐人屋敷にて、人をもてなす料理の一品として提供されたのが「茶碗蒸し」誕生の始まりだったと言われています。のちに、長崎を訪れた伊予松山の藩士・吉田宗吉信武が初めて茶碗蒸しを食べ、その美味しさを絶賛。その味わいを広めるべく、1866年に茶碗蒸し・蒸し物専門料理店「吉宗(よっそう)」を開業しました。
茶碗蒸しはなぜ、銀杏を入れる!?
茶碗蒸しの具材では定番の銀杏ですが、実は漢方にも使われるほどの効能があり、中国では薬膳料理に用いられていました。 その食文化が日本にも伝わり、茶碗蒸しに銀杏を入れるようになった、と言われています。
人によっては、独特な味わいの銀杏を「苦手だな」と感じる方もいますが、優れた栄養効果があるとわかれば、少し取り入れてみたくなりますよね。
茶碗蒸しの名前由来
茶碗蒸しはその呼び名のとおり、「食材の入った茶碗ごと蒸す」調理方法を用いた料理です。
この調理方法から「茶碗蒸し」と名付けられました。
起源時の茶碗蒸しはどんな見た目でどんな味?
私たちの知っている現代の茶碗蒸しにはさまざまな具材が入っていますが、起源時は卵とだし汁のみで作られた「から蒸し」という料理でした。
時代の経過とともに、だしの量や具材が追加され、現代の茶碗蒸しのスタイルへと変わったのです。
茶碗蒸しの定義とは!?
一般的に、茶碗蒸しは「具材・だし汁・溶き卵・調味料を茶碗に入れ、器ごと蒸したもの」を指します。ちなみに、茶碗蒸しと一言でいっても、豊富なバリエーションの具材があります。
例えば、うどんが入った小田巻蒸し、または豆腐の入った空也蒸しなど、地域によって用いる具材もさまざまです。
1年で1か月しか食べられない究極の「白子の茶碗蒸し」とは!?
新鮮な鱈(たら)の白子が入った「白子の茶碗蒸し」は、1年で1か月しか食べられない究極の一品です。具材である寒鱈(かんだら)の白子は1~2月に旬を迎えますが、もっとも美味しい時期は1月となります。
つまり、絶品の「白子の茶碗蒸し」は、1年のなかでも1月だけ味わえるとても貴重な料理だと言えます。では、口のなかでとろける美味しさがたまらない「白子の茶碗蒸し」の作り方をご紹介します。
【材料(2人前)】
・寒鱈の白子・・・適量
・卵・・・1個
・だし汁・・・150cc
・薄口醤油・・・小1
・塩・・・1~2つまみ
【作り方】
1.ボールに卵を入れよく混ぜたら、冷めただし汁を加えさらに混ぜます。
2.薄口醤油と塩を加えて混ぜ、細かい目のザルで漉します。
3.食べやすい大きさにカットした白子を器に入れます。
4.器にボールの液体をゆっくり注ぎます。ここで箸を使い白子を軽く持ち上げ、全体に慣らします。
5.蒸し器を使って、最初は強火で3分、つぎに少し火を弱め3分蒸します。火を止め、1分間ほど余熱で蒸したら完成です。
茶碗蒸しの歴史まとめ
もとは唐人屋敷から生まれた茶碗蒸しは、その優れた美味しさで人々の心を満たしてきました。一見、茶碗蒸しはとてもシンプルな料理だと思われがちですが、地域によって個性豊かな顔を持っており、奥深い魅力を秘めています。
ぜひ一度、「茶碗蒸し」の世界をじっくり味わってみてはいかがでしょうか。